2004年、"NIKE(ナイキ)" の実験的プラットフォームであり、"藤原ヒロシ"、"ティンカー・ハットフィールド"、"マーク・パーカー" の3名によって進められた「HTM」プロジェクトから、一足の革新的なシューズが誕生した 。それが "SOCK DART (ソックダート)" である。当時、事前告知なしの "シークレットドロップ" としてごく少量のみがリリースされたこのモデルは、そのあまりにも先進的なデザインゆえに、知る人ぞ知る存在であった 。そのコンセプトは「究極のミニマリズム」。1985年の "AIR SOCK RACER (エアソックレーサー)" が示した「靴下のようなシューズ」というアイデアを、当時の最新技術で進化させた一足であった。
"SOCK DART" の最大の革新は、アッパーの構造にある。コンピュータ制御の円形編み機によって成形されたシームレスなニットアッパーは、"NIKE" として初の試みであり、後の "FLYKNIT (フライニット)" テクノロジーの先駆けとも言える技術であった。このデジタルニット技術により、部分ごとに伸縮性やサポート性を変えることが可能となり、縫い目のない抜群のフィット感を実現した。デザイン面での最大の特徴は、シューレースを完全に廃し、透明なプラスチック製のミッドフットストラップを採用した点である 。このシリコンまたはTPU製のストラップに設けられた穴と、キノコ状の留め具によって、足の甲を動的にホールドし、確実なロックダウンを可能にした 。ソールユニットにも、軽量な "PHYLON (ファイロン)" フォームと、自然な足の屈曲を促すフレックスグルーブが採用され、スリッポンの手軽さとランニングシューズの快適性を高次元で両立させた。
2004年の登場時はあまりにも時代を先取りしすぎていたが、2014年に "FRAGMENT DESIGN (フラグメントデザイン)" とのコラボレーションで待望の復刻を果たすと、その快適性とミニマルなデザインが現代のファッションシーンで人気を獲得。スリッポン型ニットスニーカーという一大トレンドを巻き起こした。
海外では2026年にナイキ取扱店にて発売予定。また新たな情報が入り次第、スニーカーウォーズのXやFacebookなどで報告したい。
■BLACK/WHITE (911404-001)
■SAIL/COBBLESTONE/LIGHT OREWOOD BROWN/WHITE (911404-100)

















